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王富州さん死去

1960年にエヴェレスト北面(チベット側)からの初登頂者(長らく、この登頂は疑問視されていましたが、現在は、記録として認められるようになりました)であり、シシャパンマの初登頂者でもある、中国「国家英雄」の王富州さんが、7月18日に80歳で亡くなりました。

私が参加した、1991年シシャパンマ・1995年マカルー・1996年のチョモランマ・1999年リャンカンカンリの登山では、そのときに中国登山協会の会長や、重職を務めていた、王富州さんが、登山許可などで、尽力してくださり、北京では、いつも食事を共にしてくださいました。

1960年当時の中国によるチベット登山は、国家主導による、チベットを支配下に置くための国家戦略として行われた側面もあり、その評価は賛否があるとされますが、あの時代に、未踏のチベット側からチョモランマに登頂すること、未踏峰の8000m峰であったシシャパンマに登頂することは、いかに国家主導の登山であったとしても、登る者の内から湧き出る「登りたい」という強い意志がなければ、決して、成し得るものではなかったはずです。

私の見た、王富州さんは、北京のレストランで私たちと一緒に食事をしているときや、道を歩いているときに、教科書にも出てくる「国家英雄」の存在に気がついた、人々が驚いて、恐る恐る、握手を求めるのを、気さくに受け入れ、話しかける姿でした。

王富州さんが、中国登山協会の会長を退かれた途端に、協会内では派閥抗争が勃発し分裂と分断が繰り返され、協会は崩壊寸前に追い込まれます。

そして、当の抗争を繰り広げた者達が、王富州さんに会長に復帰して欲しいと懇願した様子は、皆に慕われた彼の人望と人柄を物語っています。

写真は、1999年リャンカンカンリの登頂祝賀会に駆けつけてくれた王富州さん(左)と、当時の私(右)

Comments

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中山圭介

どんな時代にも英雄はいるものです。 竹内氏も山登りをする人にとって英雄です! 山登りは人生そのものです。

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ヒロさんの登山の歴史を感じます。 chihiro