ご存知のように、ようやくC1からヘリコプターでピックアップされてスカルドに到着!

 ダウンジャケットを着てダウンのスリーピングバックに詰め込められたまま、炎天下のスカルドに着くとわずか1時間前にはC1にいたことがウソのよう。

 痛みと疲労と暑さで、意識はモウロウとしていて、着陸してパイロットに「生きてるか?」と声をかけられてようやくスカルドに着いたことに気がつきました。

 座席から4、5人かかりで運びだされて担架に乗せられて、ヘリポートのすぐそばにある陸軍病院に担ぎ込まれて処置室のようなところのベッドに乗せられると、とたんにハエがワンワンとたかってくる!やっぱり死にかけるとなおさらハエにたかられるんですかね?

 その場にいる看護師さん(女性)はみんな手にハエタタキを持ってメンドクサそーにハエを追い払ってる。

 ディルク(ドイツ隊隊長)はそばついていてくれてるけれど、彼も相当に疲れてるだろう。イスにもたれてグッタリしてる。

 ああー、喉がへばりつくように渇いてる。

 看護師さんにお願いした水はもう1時間も経つのにいっこうに持ってきてくれる気配はない。

 ダウンジャケットやらは既に脱いでるんだけど、暑いっていうか、ダルイっていうか、体が動かなくてイライラしてるっていうか、痛くて腹が立ってるっていうか・・・・。

 もう、なににしてもツライ。

 ずーっと放置されてたかと思うと、気がついたように私を担架で運び出し炎天下のトラックの荷台に載せてどっかまで行くとそれはレントゲン。

 ベッドから担架、担架からレントゲンの台に移し換えられる度にとにかく痛い!そして、横を向けとか、もっと上だとか・・・・。

 そしてまた、荷台に乗せられて病室に帰る・・・。

 なーんと!それを3回も繰り返したんだよ!

 もー、イイてっば!レントゲンなんか撮らなくてイイ!!オレは、すぐに日本に帰るんだ!!

 そんな事はイスラマバードでするから放っておいてくれー!!

 しばらくすると、これまでずーっとほったらかしだったのに、私のベッドをグルリと取り囲むほどの人がやって来た。

 その中の一人、キャプテン(大尉)ナントカが自己紹介をしながら私に握手を求めた。顔に「オレはエライ!」って書いてある。彼が、この病院のチーフドクターだ。

 彼が、私と部下に私の服を脱がすように言うので、私がモゾモソと上着を脱ごうとすると、彼が大声で、待て!脱ぐな!

 へ??

 脱ぐな!服は切るんだ!!

 えー?脱げるよ!今、これしか着るもんないし・・・。その時、私が着ていたのはCW-XのX-Fitの上に薄いフリース。どちらもプルオーバーだけど、よく伸びる生地だから左腕はすでに抜いていて上に引っ張れば両方脱げるって状態でストップ!

 脱げるってば!って、抗議すると彼は

 じゃあ、上の一枚は脱いでよし!下のは切る!

 はー??言ってる意味まったくわからんのだけど・・・・?

 彼の言葉に従い、部下の方々がですね、引っ張ると、くっ付いてきて勝手に脱げてくる下のX-Fitを無理やりおさえてフリースを脱がすと彼は満足げにハサミを取り出して切ろうとしたのだけど、彼的アクシデント発生!!

 X-Fitに使われている特殊生地はこの病院のボロいハサミで切れず!!

 グニグニと生地はハサミから逃げて切れず、彼の顔はみるみる赤くなって額に汗が・・・。

 メス持ってこーい!!と叫び、メスで切り始めたんだけど、きっと彼がイメージしたような、シャー!!っとカッコよくは切れないんだなー。

 顎をしゃくって部下にオマエやれ!って指示すると3人がかりで、チクチクと切りはじめたよ。脱いだほうが早いだろうに。

 気はすみましたかー??

 ようやく上半身を裸にした私を囲んで先ほど撮ったレントゲンを透かしてみてはみんなで密談してる。

 すると、また!私をストレッチャーに移そうとするではないか!!

 えー!!またレントゲン??

 もういい加減にしてくれよー!!

 ガラガラガラー!と運ばれていくと・・・行き先はレントゲンではなくて、なんだか怪しい部屋の前。

 ドアが開かれ中に運び込まれると、そこは一面に白いタイルを貼りこまれた田舎の温泉旅館のトイレのような手術室。こんなの古い映画かドラマでしか見たこと無いぞ。

 オイ!! で!手術室でなにをしようって言うんだ?!?!

 こんなハエがブンブンと飛んでる手術室でなにをしよーって言うんだよー!!

以下次号!!

Comments

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田村真希

スカルドの医療に関わるものです。産婦人科医をしております。偶然ブログの文章を拝見いたしました。竹内さんが大変な思いをされたのだと理解いたしましたが、このような文章が公然と公表されていること、非常に悲しく思いました。医療のレベルに各国で差があるのはわかりきったことです。そこに住む人々は、目の前の問題について精一杯がんばっているということは、日本であっても、スカルドであっても同じです。スカルドで竹内さんに関わった医師が、患者や周辺スタッフに威圧感を与えるような人物であったのは確かかもしれません。コミュニケーション不足もあったかもしれません。私は、自分のスキルや技術を生かしてスカルドの医療を少しでも良くしていきたいと考えています。スカルドの医療事情そして限られた医療資源の中で本当に医療者がよくがんばっている事も知っています。それだけに「スカルドの医療は最低だ!」というようなメッセージのこめられたこの文章には腹立たしさですら覚えます。何とか、修正してもらえませんか?

2

イナ

リアルな話で思わず引き込まれたw 早く続きをお願いします。

1

おがち

え~っと… ここは“恐怖体験”のブログでしたっけ?? この先を読むのが恐ろしいのですが…