プロ登山家 竹内洋岳様
このたびは「#妄想エヴェレスト登山」での登頂,そしてプロジェクトの完了おめでとうございます。ネパールでの登山が難しくなった状況を踏まえて発想された,ソーシャル・メディアを通じての本プロジェクトは,ネパールを訪れると目にする風景や文化も織り込まれており,大変興味深く拝見していました。14サミッターである厳しい環境や困難にも立ち向かわれた経験をお持ちである竹内様の,プロ登山家としての強い心とユニークなアイディアが表現されているプロジェクトであると思います。
昨年11月,竹内様のネパールご訪問時は当館にも立ち寄っていただき,講演会も大盛況でしたので,今年の「エベレスト日本人初登頂50周年メモリアル登山プロジェクト」でのご訪問を心待ちにしておりました。しかしながら,年明け以降世界中でコロナウイルスが流行し,各国間の往来が難しくなってしまいました。ネパール政府は国際便運行を停止して4月末まで登山不可と当初発表していましたが,現在もロックダウン延長が続いており,ネパール政府による観年「Visit Nepal 2020」も中止となってしまいました。大変残念ながら,しばらくの間は竹内様にも,こちらに訪問いただくことが難しい状況となっています。
本年は,冒険家の植村直己氏・登山家の松浦輝夫氏が日本人としてエベレスト初登頂に成功された1970年から,50周年となります。当時は日本とネパールが外交関係を樹立した1956年からまだ早い時期であったため,このニュースは,日本の方々がネパールという国に関心を持つ機会にもなったことでしょう。また,おふたりの困難に立ち向かう強い心に励まされた方々も,当時から現在に至るまで大勢いらっしゃることと思います。コロナウイルス流行の中,私たちも植村氏・松浦氏の強い心や挑戦する勇気に励まされることで,少しずつ前に進むことができるのではないでしょうか。
一日も早く,竹内様を含め,多くの方々がこれまでのようにネパールを訪れることが可能になり,竹内様にはプロ登山家としてのご活動から,たくさんの方々に勇気と希望のメッセージを伝えてくださることを願っております。皆さまのさまざまな交流を通じて,日本とネパールの友好関係が一層深まることを期待いたします。
駐ネパール日本国特命全権大使
西郷正道