※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
サハール騒動記 その3
それまで、一人で眺めて、無い頭をひねっていた、ベグナス湖の地形図や、前回、撮りためた湖の写真、数少ないサハールの資料などを、お師匠に、
ハイ!って渡して、後は、もう、お任せするしかございませんーん!ってことで、よろしくお願いしまーす!
私は、ネパールに行く準備をしますから、お師匠は、心置きなく、サハールを釣る準備をしてくださいね~
嫌がる、お師匠を、なだめて、すかして、くすぐて、さらに弱みを握って
・・・ふふふ・・逃げられませんよ!
お師匠、どうやら逃げられないと観念したのか?腹をくくったのか?
なんとか、行くつもりにはなったようで、ベグナス湖の地形図と資料を広げて、考え始めました。
そして・・・
「ベグナス湖に、サハールは、いないと思いますよ・・・」
またまた~!
そうやって、予防線を張っておこーって魂胆ですかぁ?
「いいですか・・竹内さん。魚は、いるべくして、いるものなのです。いくら水があっても水たまりに魚はいないでしょ。
例えば、アフリカのサバンナに、インパラだけが住んでいるわけでも、ライオンだけが住んでいるわけでもないでしょ?インパラが食べる草から始まって、いろいろな動植物が住んでいるからこそ、ライオンもいるのです。それぞれが、勝手に生きてるわけではないんです。
その環境に適したモノが、そこで共存しながら生き延びていくのです。
サハールが住むには、サハールの餌となるものがいて、サハールが住める環境がなければ生きていけないんですよ。
このサハールの魚体の大きさ、ヒレの形、この口の形からすると、このベグナス湖は、サハールが住む環境ではありません。サハールのような形をした魚は、もっと流れのあるところで生きていくように魚の形が進化しているので、このような地形の湖には、住んでいないと思います」
だって・・・
地元の人が、サハールいるって言ってましたよ!
「確かに、昔はいたかもしれない。突発的な水位とかの変化で、一時的に、周りの川から迷い込んできたのかもしれないですね。それも、漁で捕られてしまったり、その後、環境に適応できなかったりしたと思いますよ」
だって・・だって・・・
サハール、いそうですよー!
「いいですか・・竹内さん。魚釣りは魚を観察することから始まるんです。魚の形、ヒレの形、口の形は、意味もなく、それぞれ違うわけではないんです。住む環境、食べるものによって進化してきたんです。
それを観ることで、どのような道具やルアーを使うか、どんなとこにいるかを見極めるのです。
魚のいないところにルアーを投げても、決して釣れませんよ。魚がいるところにルアーを投げてこそ、釣りが始まるんです。
これまで、魚を、そやって観たことがありますか?」
魚を見て、そんなこと考えたこともありませんでした・・・
食べられるのかな?くらいしか、考えたことありませんでした・・・
顔を洗って、出直してきます・・・
しかーし!
お師匠!サハールが居ようが、居まいが、首にナワつけてでも引っ張っていきますよ!
サハールが居ないというなら、いないことを明らかにしてもらおうじゃないですか!
場合によっては、湖の水を汲みだしますよ!
ええ、その時は、私も手伝いますから。
サハールは、さて置いても、前回、私が釣り損ねた、なんだかわからない、デッカイ魚を、たしかにいますから、それは、必ず釣ってください。
正体を確かめましょう!
お師匠!頼みますよ!
ハイハイ・・・
一人で、ネパールまで来ることに、根拠なく怯えながら、冷静にサハールを分析して根拠を探るお師匠。
サハールが居ないというのも、彼ならではの冷静で知的な分析力があるからです。だからこそ、長くトッププロとしての地位を維持していられるのでしょう。
しかし、サハールが居ないと言いながらも、SHINGOお師匠、ただのプロアングラーではありませんでした。
あれほど、ネパールにもサハールにも乗り気でなかった、お師匠でしたが、行くと決めてからの、彼のプロ根性に、私は、度肝を抜かれるのでした・・・
つづく
Comments
1
このような寝姿でも、プロってすごいんでしょうね~ SHINGO師匠もヒロさんに弱みを握られるとは、 かなり油断をしてしまいましたね。 このやり取りはおそらく、日本中のどの出来事よりも、 エキサイティングだと思います。 プロアングラーの根性とはいったい何なのか・・・・ 早く続きが知りたいです。 chihiro