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ネパールの南方地方の部族には「イラクサ」から取られる非常に丈夫な繊維で織られた布が民族衣装に伝統的に用いられてきました。

この「イラクサ」は「カラムシ」とも呼ばれ、日本でも福島県の「からむし織」が古くから伝えられています。

近年、ネパールでは、民族衣装としてイラクサの布を着る習慣も薄れ、一時、姿を消したともいわれましたが、最近、その風合いが見直され、私たち外国人向けにデザインを新たにした、イラクサの布製品が増えてきました。

高級な日本の「からむし織」を買うとなると、目ん玉が飛び出ますが・・・
「ネパール級」の「イラクサ織」なら、気軽なデザインと気軽なお値段で、気軽に楽しめますよ!

原産国も生産国もネパールですから、ネパールのお土産に、おススメです!

日本からネパール周辺に分布する「イラクサ」と、ヨーロッパなでに分布する「セイヨウイラクサ」は種類が異なるそうですが、「イラクサ」は「刺草」とも書かれるように、葉がギザギザしていたり、棘があったり、触るとかぶれるものあるそうです。(非常に多くの種類や亜種があるそうです)

その棘や、とても丈夫な糸や布になることから、邪悪な力から身を守ってくれと信じられていたそうです。

その「セイヨウイラクサ」にまつわるお話しが、
「アンデルセン童話」にあります。

『白鳥の王子』
【ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805年~75年)デンマーク】

ある北の国に、11人の王子とエリサというお姫様が暮らしていました。お母さんが亡くなり、父親である王様は、新しいお妃を迎え入れましたが、実は、この新しいお妃は魔女だったのです。お妃になりすました魔女は、王子とエリサを邪魔に思い、密かに王子たちに魔法をかけて白鳥の姿に変え、王様を欺きエリサを王宮から追い出してしまいます。

エリサは、お兄さんたちが姿を消したことを悲しみ、泣きながら一生懸命に探し回りました。森で出会ったおばあさんから11羽の白鳥の話を聞き、11人のお兄さんを偲んで、エリサがその白鳥を見ていましたら、日が暮れ太陽が沈むと、11羽の白鳥は11人の王子に姿を変えたではありませんか!
こうして、エリサはお兄さんと再会することができましたが、お兄さんたちは、夜の間しか人間の姿でいることができず、朝、陽が昇ると、再び白鳥となり空に飛び立ってしまうのでした。
そして、白鳥は海を越えて遠い国へ渡っていかなければならない季節が近づいてきていました。また、離ればなれになってしまいます。
そこで、柳と葦で綱を編み、そこにエリサを乗せ、白鳥になったお兄さんたちが綱をくわえ、海の向こうの国に連れて行くことになりました。

海を越える辛い旅の夜、エリサは夢を見ました。
夢の中で神様に、魔法を解いてください!とお願いをすると、妖精が現れたのです。そして、エリサに言いました。

魔法を解く方法は、ただ一つ。
魔法を解く不思議な力を持つ「イラクサ」で紡いだ糸で編んだ上着をお兄さんたちに着せなさい。しかし、上着が出来上がるまで、一言もしゃべってはいけません。決して・・・
もし、一言でも声を発すれば、その声は鋭い剣となって、お兄さんたちの心臓を貫くだろう。

エリサは、海の向こうの国で、イラクサの刺で手から血を流しながら、糸を紡ぎ、ひたすら上着を編み続けました。

ある日、ある国の王子さまが、旅の途中で、一言も声を発せず、話すこともしせずイラクサの上着を編み続けるエリサに一目ぼれし、国に連れ帰り、二人は結ばれます。
しかし、エリサは、お兄さんのために、言葉を封印し、イラクサの上着を編み続けました。

ある夜、イラクサが足りなくなり、エリサがイラクサを摘んでいると、暗い墓地に迷い込んでしまいました。ところが、ある者が、暗い墓地をさまようエリサを見つけ「エリサは魔女だ!」と国中に言いふらしたのです。魔女とされた、エリサは、火あぶりにされることになってしまいました。

11着のイラクサの上着が編み上がるまで、話すことができないエリサ。もし、声を上げれば、お兄さんたちは死んでしまいます。
心の中で叫びました。
「私は、魔女ではありません!ああ!上着が編み上がれば、話をして分かってもらえるに!」

暗い牢の中でも、エリサは、上着を編み続けました。
しかし、ついに火あぶりの刑が行われる日がやってきました。処刑場に引き連れられていくときも、エリサは編み続けました。

その時、空に11羽の白鳥が現われ、エリサを守ろうと飛び交います。しかし、ついに役人がエリサの手をつかみ火あぶりの台に縛りつけようとしました。

もう、時間がありません。最後の一着はまだ、編み上がっていませんでしたが、エリサは11着の上着を白鳥に投げかけました。
すると、魔法が解け、11人の白鳥は王子に戻ることができたのです。しかし編み途中の上着を着た一人の王子の片腕には白鳥に羽が残ったままでした。

でも、エリサの魔女の疑いは晴れ、11人のお兄さんちとエリサは、再び一緒に暮らすことができたのでした。

おわり

(あらすじ 抜粋)

Comments

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中山圭介

最後まで読むのが大変だったけれど、 それより文字を入力した竹内氏に感服した。 色々な事に興味があり、実行する行動力には脱帽する。 「イラクサ」からアンデルセン童話に繋がるどはスゴイ!

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ヒロさん、どうしてしまったのですか? きっと好きなお話だから、 すらすらと手が動いてしまったのですね。 私もこのお話、とっても若い頃に読みました。 ホンとにこんな事が起こるわけがないと、 夢のない少女時代を送りました? chihiro