本日、毎年恒例となりましたMs.エリザベス・ホーリーさんの御来訪を賜りました。P1020350
カトマンズ市民が彼女に敬意を表して?カトマンズに一台しかない1960年製の水色のフォルクスワーゲン・ビートルで今日も彼女はやってきました。今でこそ運転手さんがついていますが数年前まではご自身で運転してました。
御歳84歳!!カトマンズに住み、ヒマラヤの登山史を網羅し続けること50有余年!!もはや、彼女自身がネパールヒマラヤ登山の歴史のデータベースと言っても過言ではありません。日本の山岳雑誌等でいかにも調べましたーって感じで掲載されているネパールでの登山のクロニコルのほとんどは彼女が発信しているもの。

アメリカ シカゴの出身で、タイム誌やロイター通信社に登山の情報を提供していました。

その記憶力たるや恐るべし!あの年のどこどこでの誰々はどうだーった、などなど、過去の登山の情報は彼女の頭の中で年と山と人にパーフェクトに分類されていて何を訊いてもすぐにその口から語りだされる。
「あら!ヒロ髪形変えたの?眼鏡も掛けるようになったのね。年取ったのね!麻薬のブローカーに見えるわよ」
返す言葉もございません・・・。

このカトマンズ中に彼女の秘密連絡網がCIAもKGBも真っ青っ!てほどに張りめぐらされていて、飛行機でカトマンズに着いてホテルの部屋に入ったとたん!!登山が終わってカトマンズに着いてホテルの部屋に入ったとたん!!電話が鳴るのだ!!
「お話伺いたいんだけど、いつお会いできるかしら?」

カトマンズにいて彼女の魔の手から逃れる術はない!!
そして、その登山がいかに進められ、そしてどのような結果になったのかを「事情聴取」じゃなかった・・記録に残されるわけですね。

以前、わたく、竹内洋岳が不遜ながら彼女にこんな質問をしたことがございます・・・。
えーっと・・・失礼ながらお聞きしたいことが・・・こうして、ホーリーさんがいろいろ登山について質問されても、我々側が必ずしも正直に答えてるとは限らないですよね??頂上だって実際には登ってないかもしれないし、カメラが壊れたとか天気が悪くって写ってなかったとか・・・いくらでも偽ることはできると思いますが・・・??
眼鏡の奥の彼女の眼がキラーん!!と鋭く光り、私をしばらく見据え・・・
ふっ・・笑うと・・・
「これまで、私が何人のクライマーを見てきたと思うの?嘘を言っているか、真実を言っているか、目を見ればすぐにわかるわ」

失礼いたしましたー!!!土下座させてくださーい!!!

彼女が自ら語った半生記が昨年出版されています。
「I call you in Kathmandu」
私もまだちゃんと読んでませんが、面白そうです。
ちなみに、中の写真で彼女が両親からプレゼントされた初めての三輪車と一緒に写っている写真で彼女が被っている帽子は緑色で当時大っ嫌い!!な帽子だったそうです・・・。
いつまでもお元気で!!

【「初代竹内洋岳に聞く」の中でエリザベス・ホーリーさんについての記載で一部、誤りがあります。このエントリーに掲載されている内容が正しい情報です。本につきましては、増刷の機会がありましたら、必ず訂正をいたします。申し訳ございません】

Comments

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chomokinta

カトマンズに住んでいながら、チベット側の登山も把握されているのが偉いですよね。ネパール側なら観光局や登山協会の申請書を閲覧すれば登録エージェント経由で登山隊の動きがつかめるとは思うのですが、チベットの登山隊まで宿泊ホテルを即刻探し出して帰国されちゃう前にインタビューに来られるのには感心します。 それにしても、成否を虚言してしまう登山者がいるとは恐ろしい時代になったものです。日本人にはそんな人がいないことを願うばかりです。