※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
ある、朝食の風景
いやー、BCにいると天気がいいなー。まったく登れる気配がありません。困った・・・。
そして、ヒマです。テントの中で片付けるところも無くなり、お手製テラスの石組みにも飽きました。
そんな訳で一つ、しょーもない話をしてみましょう。
BCの食事はパキスタン人コックのアシャードが作っているので晩御飯はライスとカレー風の野菜やお肉といったメニューが多いのですが、朝食はヨーロッパの人々に合わせてパンケーキに卵、そして、チームで用意している、チーズや生ハムやジャムを沿えて、コーヒーと一緒に、て感じです。エスプレッソメーカーもちゃんと用意してあります。
そこで、朝食に良く出てくるのがポリッジ(オートミール)です。
で、このポリッジと言えばですね、ワタクシが御幼少の頃、よく読んだ「海外文庫」の中で、貧しいながらも誠実に、そして勇気を持って生きていく主人公たちが、時折、「あー・・・お砂糖をたっぷりかけたオートミールが食べたいなー・・・」なんてつぶやくシーンがよく出てきたものです。
御幼少の頃のワタクシはそれを読んで「オートミールという食べ物はトテツモナク!美味しいものにちがいない!」と思い続けて成長したわけでございます。
その後、忘れてたというか、オートミールを食べる機会もなく時間は過ぎていくわけですが・・・・まだあどけなさの残る若きその日、海外に出たときに、まあ、その海外ってのが中国チベット経由ネパールってのでしたが、カトマンズに着いて、そう!「オートミール」を思い出しちゃったんですよ。
「そうだ!あの!オートミールを食べてみよう!」
私はタクシーに乗って、最近ではあまり良い評判を聞きませんが、当時はまさに、超一流、最も格式が高いとされた、カトマンズの「Yak&Yeti Hotel」のレストランに向かうわけです。カトマンズの超一流をバカにしてはいけません! 当時のネパール王国(今は王国ではない)ゆえに、日本のそれとはまったく違う、格調の高い、ブリティッシュスタイルのホテルなのです。
きっと、ここなら美味しいオートミールが食べられるに違いない! 期待と好奇心一杯でレストランの席に着くわけですが、そもそも、ランチの時間に行ったことがすでに、なにかの歯車がズレ始めていたのです・・・。
まず、メニューに「オートミール」の文字が無い。そんなことは無い!って、あーでもない、こーでもない言ってるうちにそれが「ポリッジ」だと言うことが判明するわけですが、この時点でウエイターさんの反応からとか、なんかヘンだな?とは思いながらも、もう後には引けず、かなりケゲンそうな顔したウエイターさんに思い切って注文したのです。
そして、出てきた、その白い「半流動体」を前にして私の頭上には「?」マークが無数にパッ!パッ!パッ!と浮かびました!これ?なの?か??と・・・
いや、見た目じゃない!きっと美味しいに違いない!
スプーンを手にして、それをすくって口に運んで・・・
ぶっっ!!なんだこりゃ!!思わず吹き出しそう!
そうだ!お砂糖だ!お砂糖をたっぷりだ!!
それでも、無理!!これは、どうしたってマズイ! 日本人は食べられないということか?
打ちのめされ、そのまま、そのポリッジは下げてもらって、口直しにクリームキャラメル(プリン)を注文して、「怪しい客」度を倍増させ、私の貴い憧れは打ち砕かれ、絶望の後にレストランを後にしたわけです。
さらばあの日よ・・・。
でも、結局、あれって「大人の味」だったのね。今は、結構、好きな食べ物にカテゴライズされるかな。でもお砂糖はいまいちで蜂蜜が一番いいかな。
ところで、ヨーロッパの人々がこのポリッジが好きなのか?というと、これまでに主な国籍の人たちを観察してきた様子では、ポリッジってつまり健康食って扱い? 日本人で言うと玄米とか? 「体に良いのは承知してるけど・・」って感じ? ポリッジが出てきて「わーい!」って喜んでる人は見たことないね。
どうやら、遠く故郷を離れて暮らす外国の人がポリッジを食べて望郷の想いにむせび泣くなんってことは無いということだ。そして、今わの際に「あー・・ポリッジが食べたい・・」とも思わないようだ。あくまでも推測ですけど。
オートミールにまつわる、しょーもない話でした。忘れてください。
一般的にシーレベル(平均海面)から上がるほど、レベル(知的度合)は下がるといわれていますので・・・。
ところで、コックのアシャードはみんながお腹を壊した責任をとって、ボウズになりました。
(ウソです。本人はこれがカッコいいんだと申しております)
Comments
1
ノルディック命
悪天候の中の停滞中もオートミールの面白いお話ありがとうございます。トラブルがあり沈んでいる気持ちを奮い立たせるの普通なら難しいでしょうが竹内さんなら出来る技ですね!最後のコックさんの坊主も信じるところでした。楽しいエピソード宜しく