病室のドアがばーん!と開いて、平出くんと小松ちゃんが、駆け込んできた!

竹内さーん!大丈夫すか?!

まったく、ダメでーす!でも、まだ生きてまーす・・・。

 その時、「ビデオ小僧」の平出くんはてっきり、ビデオを回しながら病室に入ってくるんだろうなーっと予想していたんだけれども、そうでもないとこを見ると、彼にそれを遠慮させるほどに私の状態はかなり深刻な話となって伝わっているようだな・・・。

 悪いねー・・・。お前たちに苦労ばかりかけちまって・・・・。

 それは言わない約束だろ、おとっつあーん!!

そして、唐突に小松由佳の入浴シーンへ!

お代官様、いい湯加減でございますよ。

うむ!苦しゅうない!

 ではない・・・・。

ちなみに、ただいま兵庫県の植村直己冒険館では小松由佳特別展が開催中!!

http://www3.city.toyooka.lg.jp/boukenkan/pages/ivent/ivent.html

 二人は病室にガスこんろを持ち込んで登山で残った食料でオジヤとかゼリーとかを作ってれたよ。

 病室で煮炊きをするなんて日本の病院ではちょっと無理だろうけど、ここはパキスタン!お構いなしだ。

ハイ!あーん!

と、食べさせてもらったり、体を拭いてもらったり、爪を切ってくれたり・・・・。

二人に介護してもらうことになるなんて・・・・夢にも思っていませんでしたよ・・・・・。

明日から、病室に泊り込みで24時間介護しますよ!!

いやいや、明日になれば加藤くんが来るから、そうしたら、加藤くんをコキ使うから、そしたら見てるだけでいいから・・・。悪いねー。

 翌日、7月25日・・・・・。

 二人は朝の8時過ぎにはすでに朝ごはんを用意して病室に来てくれていた。加藤くんは今日の午後には着くはずだ。

 病室の窓から見上げる空はそんなに天気は悪くなさそうだが、エージェントからはなんの連絡も無いところをみると、今日もダメなんだろう・・・・・。

 あーあ、せめてイスラマまで戻れればなー・・・。イスラマではすでに日本大使館が動いてくれていてJICAの小林ドクターが受け入れ態勢を整えてくれている。まだ、お会いしたことも無いのに毎日、私の体の状況を確認する電話をしてくださっていた。

 イスラマにさえ戻れれば・・・、日本人医師、小林先生がいてくれれば・・・寝てる間に麻酔をかけられて手術されたり、どっかに捨てられたりという危機的状況に陥ることは無いはずだ!

 油断したら、パキスタンならありえそうだから怖い!

 そのころ、東京の事務局はさらにテンテコ舞いになっていた。

 イスラマまではもはやお天気次第、その後の問題はイスラマから日本までが大問題なのだ。通常の飛行機に乗せられるのか?座席を取り払ってベッドなりを備え付けてくれるのか?しかも、こんな重傷者を乗せてくれるのか?もしかしたら、プライベートジェットとかをチャーターしなければならないのか?

 日パ・トラベルの大住さんが航空会社に交渉を始めていた。

 そして、さらに、日本に戻ったときにどの病院に収容するか?どこが受け入れてくれるか?

 すでに事務局はある決定をしていた。

 竹内!!日本に帰ってくれば大丈夫だ!すでに都内某有名大学病院に入院の手配をしてあるから!!心配しないで帰って来い!!

 えー!!!なんで、よりによって、その都内某有名大学病院なんですかー??そこに入ったら、治るものも治らないことで、有名な大学病院ですよー!!

 すぐに、私はその某有名大学病院に勤めている非常に親しい知り合いに電話して、

あのさー・・・ちょっと背骨を折っちゃって、そちらに入院しようかなーって話なんだけど、どう思う?

 うーん・・・パキスタンの方がマシじゃん?

 やっぱり!!

 これはイカン!日本に帰ってまで命の危機にさらされるはゴメンだぜ!

 その時、私の頭をよぎった整形のお医者さんはあの、金田先生と柳下先生の2人だ!

すでに何度か登場しているこの金田正樹ドクターは凍傷治療のドクターとして有名だけど、それ以前に、アフガニスタンを初めとした世界の紛争、災害地の野戦病院さながらの環境で、まさに切った張ったの現場をくぐり抜けてきているだけあって、はっきり言ってコワイ・・・んだよ・・・。

 以前、文部科学省登山研修所の研修会に講師として参加したとき、金田先生が医療の講師としていらっしゃっていて、その時、医療の講義のときに、参加者の学生が、

 山の中でー、どーたらなー、ケガをー、したらー、どーしたらー、いいですかー?

 あ、山でそんな怪我するような人は、山をやる資格はありませんから、助けなくていいです。以上。

 しーん・・・・

うーん・・・なんだか、わざと痛くされそうだ・・・。

 ちなみにこの金田先生、そんな訳で?世界一「感謝されない医者」としても有名だ。

参考文献

「感謝されない医者  ある凍傷Drのモノローグ」 金田正樹 著 山と渓谷社 刊

 金田先生には今後、凍傷になったときにお世話になることにして、今回は遠慮させていただこう・・・。

 こうなったら、柳下先生になんとしても引き受けてもらわなければ、パキスタンに住民票を移すどころか帰化しなければならなくなってしまうぞ!

 柳下先生に連絡を取ってくださーい!!柳下先生が受け入れてくれなければ日本に帰りませーん!!

 とにかく柳下先生です!柳下先生なら治りそうな気がします!!

 ええーい!我がままばかり言いやがってー!!もう帰ってくるなー!!

とは言わずに奔走してくれたのが、スーパー事務局であった。

私は単に病院に電話して、お願いします!って話だろうと簡単に考えていたが、ことはそう単純ではなく、後で知ったことだが、三浦豪太さん(プロスキーヤー)やらを巻き込んだ大騒動になっていたらしい。

 実は柳下先生を私に紹介してくださったのは豪太さんだったので、豪太さんからお願いすることになったのだ。

 その時、豪太さんは私が生きているという知らせを聞いて、それはヨカッタ!ヨカッタ!とドンチャカと酒盛りをしていたんだそーな。そしたら、事務局から連絡を受けた豪太さんのお姉さんのエミリさんから、酔っ払ってる場合かー!!と大目玉だったそーな。

 とんだ災難だ・・・・。

 しかし、そんな騒動の末に柳下先生はばっちり!受け入れてくれることになったのだが、柳下先生にしても突然、降って湧いたような騒動に巻き込まれて、申し訳ない話だ・・・。

 山で怪我すると途方もないところまで迷惑をかけるんですねー・・・。まだ、このセリフは早いか・・・。まだまだ、いろんなところに迷惑をかけそうだ・・・・。

つづく!

Comments

1

ねやん

本当に大変だったんだろうと思うのですが、このブログが面白すぎです!!続きが楽しみです!