私の勝手な「イスラマ=日本」図式はもろくも瓦解した・・・。
 加藤くんにハズカシメを受ける日々が過ぎていく・・・。
 小林先生は毎日、来てくださっては、問題がないかチェックしてくださり、ドリームチームに状況を連絡してくれていたが、まあ、寝てるしかないんだよね。
 小林先生が私がベッドに寝ている様子を写した写真をチームに送ると、すかさず先生たちから
 寝ている姿勢がなっとらん!(腰の姿勢がよくない)
 とのお叱りが・・・・。

 時と日がたつのは誰にも止められない。
 スカルドで、涙の別れをしたはずのディルクが、病室にお見舞いに来ちゃったよ・・・・。
 へへへ・・・、また会ったね・・・運命だね。

 海千山千のさすがの事務局も苛立ちを隠しきれない。
 もう、プライベートジェットをチャーターしてしまったほうがいいんじゃないか?
 日本からドクターを送り込んだほうがいいのではないか?
 
 いやー・・・どんどん、話しが大事になってきたぞー!
 プレッシャーだよ・・・。なんだか、日本に帰るのがイヤになってきたなー・・・きっと日本に着くころには、もっと話がデカくなって、きっと空港にはレッドカーペット間違いない。
 
 小林先生が早い時点で
 絶対安静が必要だけれども状態は安定しているから医者の付き添いは無くても一般の旅客機で搬送できる
 との判断をしてくれたのが、数少なくも大きな「安心材料」になっていたのだが・・・。
 
 事務局ではすでにドクター付きプライベートジョットのチャーターの契約書にサインするまでになっていたが・・・・賭けに出た!
 ぎりぎりで契約撤回!
 その賭けは勝ちと出た!
 ぎりぎりで、パキスタン航空が受け入れを表明してくれたのだ!!
 
 やったー!!次のフライトで日本に帰れる!かも?
 加藤くーん!一緒に日本へ帰ろう!もう、ファトマさんのことはあきらめて一緒に日本に帰ろーう!!
 
 しかし、あくまでも、カモ?なのがパキスタン方式!飛行機が離陸するまではわからない・・・。離陸しても、来るときのようなことだってあるからね。
 インシャラー!ってヤツだね。
 乗せてくれるってよー!って、楽しそうに、うれしい知らせを持ってきてくれた大住さんだが、次の瞬間には、いじわるそうな顔で
 まあ、飛ぶまでわからないけどねー。
 
 通常のフライト便の座席を取り外し、ベッドを備えつけてくれることになるのだが・・・。どんなベッドなのかな?
 もしかして、貨物あつかい?
 せめて、動物あつかいでお願いしたいところだが・・・・。

 運命の日が近づいていた。
 それは明後日・・・そして、明日・・・。ついに明日の夜になった。
 
 小林先生も
いよいよ、明日ですねー・・・と安堵の言葉を残して、では、明日!と帰って行かれた。
 小林先生は明日の夜からカラーチに出張というのに、私のフライトを見届けるべくぎりぎりまで時間を割き、明日も私が空港に向かうまで付き添ってくれるという。
 本当にありがたい。
 
 明日のフライトにドキドキ!今晩は眠れないなー!
 なーんて、加藤くんと鼻の下をでーっと伸ばしていると・・・ドアをノックする音が・・・
 この病院でノックするパキスタン人なんていたっけ?
 誰かな?こんな遅くに・・・
 現われたのは・・・
 初めて見る顔のパキスタン人ドクター。
 これまで、さんざん、やっつけ、やっつけられてきた何人ものパキスタン人ドクターとは明らかに様子が違う。
 柔和な笑みを浮かべ、自己紹介をする彼はこの病院の呼吸器の責任者と名乗った。そして、私の英語レベルに合わせたわかりやすい言葉と紳士的な態度で、
 なにか、心配なことはないか?困ったことはないか?と気遣ってくれた。
 ああ!もっと早くにあなたに会いたかったよ・・・。
 
 さて・・・・
 彼は微笑みを絶やさずに、涼やかに私に質問をした。
 いつ、帰るのですか?

 はい!明日の夜に帰ります!飛行機で!
 大使館や多くの方々が尽力してくれました!もちろん、この病院にも、そしてあなたにも本当に感謝しています!
 本当にありがとうございます!!

 彼はウン、ウン、と静かに笑みを絶やさず、うなずきながら私の感謝の言葉を聞いていた・・・。
 そして・・・・

 ミスター・ヒロタカ・・・残念だけど、あなたは明日帰ることができません・・・・。誠に残念ですがこれは私の決定です・・・・。
 では、ゆっくり休んでくださいね。オヤスミなさい。

 えっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

つづく!

Comments

1

fumicoba~cyan

えーっ、こんないいところで”つづく”にしないで!! 早い帰国を願います。気になる~!!