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 いまや「アバラコフ」は、アイスクライミングの必須技術ですね。

 もう、皆さんは百発百中!ですか?

 この「アバラコフ」は旧ソ連時代に当時のソ連邦体育、スポーツ局(?もしかしたら軍?)の登山部門のプロフェッサーであった、アバラコフさんが考案したことで彼の名前で呼ばれています。

 私が初めてアバラコフを知ったのは90年末頃で、海外の雑誌にイラストで紹介されていたので、早速、八ヶ岳の氷で試してみたんだけど、当時、私が持っていたスクリューはハンマーで叩きながら回さなければ入っていかないような代物で、それはそれは、大事でした・・・。

 まあ、確かにそんな方法もあるんだねーってな程度だったのです。

 2001年にナンガパルパットに行ったときにラルフにアバラコフのことを聞くと、彼も「やり方は知ってるけど、特には使わないなー」って感じでした。

 ところが2003年に再びラルフと一緒にカンチェンジュンガに行ったときには、事前の打ち合わせのメイルのやり取りの中で、個人装備はなにを持ってきてもいいけど、「スクリューはグリベルかブラックダイヤモンド(当時の高性能スクリュー)のみ!そして各自、アバラコフ用のフックを用意するように!」とのお達しがありました。

 そして、カンチェでは、下降だけでなく前進にもアバラコフを打ちまくった!

 そのわずか数年のあいだでそれほどに普及した理由は?とラルフに尋ねると、

 ソ連が崩壊した後、ロシア圏のクライマーがヨーロッパアルプスを訪れるようになり、彼らが、このアバラコフを使用しているのを見て、最初は「ヘンなことやってるなー」くらいにしか思わなかったそうです。(彼らはお金に余裕がないからスクリューを節約してるんだろうって言っていたそうだよ)

 あるときアルプスのアイスクライミングの下降ルートで立て続けに転落事故が発生!

 それは下降ルートにスクリューで設置されたロープの支点が抜けて、クライマーが転落するという事故が続けて起こったのだ。

 日本国内でスクリューを使用するシチュエーションとして、スクリューを長時間設置したままにする機会はあまりないので想像がつきにくいかもしれませんが、スクリューを長時間設置したままにしておくと、スクリューが太陽の熱を浴びて温まり、その熱が金属を伝導して、スクリューの周りの氷を溶かし、場合によっては大きな穴になって、スクリューが、スっぽん!!って抜けるほどになる。

 日射の強い場所や、特にヒマラヤでは数時間でゆるくなる場合もあります。

 その事故も長時間設置されたままのスクリューが、ゆるんで懸垂下降中に支点が抜けたのでした。

 ところが、ロシア圏クライマーが設置したアバラコフでの下降支点は、ゆるむどころか、どんどん締まっていくぞ!!

ってことと、ちょうどスクリューの性能が飛躍的に向上して片手で打てるようになったこともあり、一気にアバラコフが普及していくことになったそうです。

 最初、ラルフもその強度には半信半疑だったもので、仲間と測定器を使って引っ張って強度を調べてみたんですって。

 そしたら、あらー!スクリュー1本より圧倒的に強いじゃん!ってその時はビックリしたと言ってました。

 極端な話、氷のルートならスクリュー1本、ロープ1本あればどこまでもルートを伸ばしていけますね。極端なハナシね。

 (写真は下降支点用の捨てスリングですが、ランニングやアンカーとして使用するところではダイニーマのソウンスリング6mm・8mmを使用しましょう)

 しかし、このアバラコフって氷のあるところに行かないと練習できないというのが悩ましいですね。冷凍庫のキューブアイスじゃダメだし・・・。

 ああ!そうだ!

 でっかい鍋にゼリーを作って、練習するのはどうかな?中が見えていいんじゃない?

 今日はストロベリー味!明日はメロン味!とか??

 練習が終わったら、ちゃんと食べてね。

Comments

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くろ

アバラコフ・カムという幻のギアの考案者でもあるんですよね. ゼリーより蕨餅のほうが良いかもしれません。きな粉で見えないですから・・・・。

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masami

山の人の事を知りたくて、ずっと本ばかり読んでいます。 映像が見たくてうろちょろしていたらここに来てしまいました。 まったく専門的な話はわかりませんが、一生懸命読んでます。 こんな読者がいても良いですよね?今日からたくさん読みに来ます。 たくさんの登山家の方の本も読みました。 行くことはてぎないけど、山の話を楽しみにゆっくり さかのぼって読ませて下さい。