※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
G2登頂!その後・・・
7月8日にG2の頂上に立って私たちの登山が終わる訳ではありません。
そう!!無事に帰らなければならないのです。
頂上に立ったとき、不思議なことにそれまでかなり強く吹いていた風が、ふぅっ!と止み、まるで祝福してくれているかのようだった天気は、下降に入ると再び強い風が吹き始めました。
「コーナー」を過ぎ「大トラバース」の斜面に入ると風はさらに強まり雪の粒がサングラスの隙間から吹き込み目も開いてられないような状態になり、数時間前の私たちのトレースは完全に消えてしまっています。
雲が湧き上がり、ブリザードで、時に視界は数メートルになるほどのホワイトアウトの中で私たちは下降していました。
ベイカー、平出くん、そして私の順番で今朝出たファイナルキャンプに向かって下降しているはずでしたが…
トレースは完全に消え去り、登ってくるときに所々に残したはずのフラッグ(竹ざお)も見当たらない…
ベイカーは先頭でルートを見出そう…なにか見覚えのある地形はないか?と先を急いでいるようですが、平出くんはかなり疲れているようで、時々座り込んでしまっています。
後ろから平出くんを急かすけれども、ベイカーとの距離がジリジリと離れ、ホワイトアウトの中で彼の背中が見えなくなってしまうことも…
前にいるはずのベイカーのトレースさえも直ぐに薄くなっていく!
このままでは離れ離れになってしまう!
ヤバイ!
ベイカー!!ベイカー!!ロープを付けろー!!ロープー!!
風の中で叫んでもベイカーまで声が届かない!
慌てて追いついて、ベイカーにロープの末端を投げ渡すが、ベイカーもホワイトアウトの中でルートが判然とせずかなり苛立っている。
どっちだ??
こっちでいいのか??
クソ!さっきまでは薄っすらとトレースが残っていたのに…
目も開いていられないような風!
ホワイトアウト!
見失ったルート!
登ってくるときは、間違いようがないような単純なルートがホワイトアウトでまったくわからない…。
まだ標高は7500mライン・・・このまま行動不能になってビバークになればタダではすまない!
ヤバイぞ…!
どーしよう!
ドラえもーん!!なんとかしてよー!!
チャチャチャ ちゃーん!!
GPSーぅ!!
ファイナルキャンプから頂上までの間、私がかなりこまめにポインティングしていたので
ポチっとな!
こっちだー!!
フラッグ発見!!
そして、こっちだー!!
下降ポイント発見!!
けっこう、ヤバかったです…
去年のG2でもC1からBCへの下降でホワイトアウトになって、アイスフォールの中でルートを見失ってしまいましたがGPSのおかげで帰ってこれました。
過去のようなBCから頂上までフィックスドロープを張り巡らせるような登山をしない今、高所の場合、下降ポイントを見落として別の方向に下ってしまうと、気がついてもヘロヘロで登り返せなくなってしまう可能性が高いのでホワイトアウトや、予想以上に行動時間が長くなって日が暮れてしまったときを想定してGPSを有効に活用することが身を守ります。
ただし!
いくらGPSを持っていても、ポインティングをこまめにしておかなければ役に立ちません。
そして、重要なのはバッテリー!!
バッテリーが切れたらただの「おもり」になってしまいますからね!