※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
当てるのではなく導き出すもの
イノクマ先生から、これからヒマラヤ登山にお出かけの皆様にメッセージです!
ヒマラヤ天気予報の有効性
地球温暖化の進行によって、ヒマラヤの気象が年々変化している。「北風が吹くと晴れる」など、これまでの常識や観天望気が通用しなくなり、寒冷低気圧の停滞や強力なサイクロン接近など、極端な気象が出現しやすくなってきている。
そうした状況の中で、積極的に天気予報を活用している竹内洋岳さん。
日本人最多の8,000m峰12座登頂の実績は、並外れた高所での強さや高い登山技術はもちろんのこと、衛星電話や気象情報の活用など“命を守る”ための最大の努力を怠っていないことも大きな要因だろう。
欧米の登山隊では、ヒマラヤにおける天気予報の利用が当たり前となってきたが、日本ではまだ少ないのが現状だ。
もちろん、「天気予報など利用するのは自分の登山理念に反する」とお考えの方もいらっしゃるであろうが、日本で登山をするときに、天気予報を見ていかないクライマーはほとんどいないと思う。
ヒマラヤでは、残念ながらテレビや携帯電話で天気予報を見るという訳にはいかない。そこで、民間気象会社が配信する天気予報を利用することが、登山のリスクを減らし、登頂の成功率を高めてくれる。
もちろん、それには精度が高いことが前提だが、幸い、これまで利用していただいた登山隊からはそれに関して高評価をいただいている。
また、竹内さんも、「今後のヒマラヤ登山において、気象情報を利用することがスタンダードになるだろう」と言ってくださっている。
高所において気象状況の変化が致命的な結果を引き起こすことがある。今後の登山隊において、気象情報の活用を是非、おすすめしたい。
山岳気象予報士
猪熊隆之