※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
ヤクフン茶
2003年の第1次カンチェンジュンガのときのお話。
天気が悪くて、まったく登れず・・・。
ベースキャンプで食っちゃ寝て、食っちゃ寝てを繰り返す、
国際食い倒れ登山隊。
なんか、太ってきたような気がするぞ・・・
ベースキャンプで数週間が過ぎた、ある日のランチ。
そのランチは、いつも通りに焼きたてのケーキもデザートに出る豪華絢爛!
ああー、今日も美味しかった!
そこに、コックのマイラーがやってくると・・・
あのー・・食糧が、もう無くなってしまったんですけど・・・
ああ!大丈夫!大丈夫!
こんな豪華な食事じゃなくて大丈夫!
ライスとスープがあればいいよ!
えーっと・・・ライスがもう無いんですけど・・・
チャパティー(パン)でいいよ!
小麦粉もないんですけど・・・
なんかパスタとかはないの?
なーんにも無いです・・・。
しょうがないな・・・じゃあ、追加の食材を下の村に買出しに行ってる間は、上部食の予備とか、ベース用の副食とかをしばらく食べるからお茶を作ってくれればいいよ。
あのー・・・燃料(ケロシンやガス)も無いんですけど・・・
ええー!!燃料も無いの!?
今のランチまで、なんでもあったのに・・・
ああ、大丈夫です。お湯は沸かせますから!
ご安心ください!お任せください!
マイラーは目を伏せがちに?自信満々に答えるのでした。
その晩は、ベースキャンプお楽しみ用に持ち寄った、ソーセージや生ハムや、堅パンなんかをテーブルに広げて、まあ、悪くないディナー。
そしてキッチンからお湯とお茶が運ばれてきた。
燃料はなんとかなったんだ!
さそっく、カップにティーバッグを入れて、お湯を注いで・・・
いっただきまーす!
お茶を一口すすると・・・
ぶぅっっー!!!
おえーぇぇぇぇー!!
なんだこれ!!!
マイラー!マイラー!
なんだこれ!お湯が変な臭いと味がするぞー!!
ああ・・・やっぱりダメでした?
ヤク(高地性の牛)のフンでお湯沸かしたんですけど・・・
ヤクのフンを燃やしてお湯を沸かしたら、臭いがお湯にも、そのお湯で洗った食器にも移ってしまっていたのです。
おえー・・・無理だ・・・
上部用のガスカートリッジでお湯を沸かしてなんとか晩ご飯。
翌日からは、なにかを口にする前には、クンクン!と臭いを確認することになりました。
さらに、恐ろしい事実が発覚!
ラルフがトイレットペーパーを1ロール手にしてダイニングテントに現れると、まるで死刑宣告のように重々しく言った・・・
「これが最後だ・・・」
ええええぇぇー!!
みんなの視線が、デービットの手元に集まる。
ダメだよー!!これはまだ読み途中なんだから!!
買出しの食料やトイレットペーパーが届くまで、一人一回10センチまで!
ええー・・・10センチで拭ける??
せめて15センチにしようよー!
なにもかもが、同時に無くなってしまうなんて・・・
もしかして、これって、キッチンスタッフが超優秀ってこと??
ネパールやチベットでは、乾燥させたヤクのフンは、貴重な燃料とされています。
ヤクのフンを拾い集める人達や、それを壁に貼り付けて乾燥させる様子がよく見られます。
でも、ヤクフン茶は飲めねー・・・そんなお茶はありませんって。
Comments
1
昔の山屋
初めてコメントします。いつも楽しみにしてます。私も昔ネパールに行ったときヤクフン茶飲んでしまったことを思いだしました。 あと2座頑張ってください。