※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
実録!! ラスト・ディスカッション
さて、これからどーする?ってより、どーなる?
天気が悪いのはどうしようもないことだけど、それより問題は「ダメ・スパイラル」に陥っていること。すっかり行動サイクルがずれてしまって、天気が悪くなるのに合わせて上がって行って、天気が良くなるのに合わせてBCに降りてきてるような感じ。
どこかで、ひっくり返さなくては!!
しかーし!一回休んで一巡待つ!みたいな悠長なことを言っていられるような時間は無い!
天気予報もこの先、いい予報を出していないし、頼みのチャーリーも「すごく変化が激しくて難しい!悪天は予想しやすいんだけど、好天を予想するのが難しいパターンだよ。あんまり自信ないなー・・・・」
えー!困るよー!!
確かに前回のC2からの下りのときの悪天はチャーリーもしっかり予想していて、降りてきてディルクが「すげー、雪だったよー!」って電話したら「だから、言ったじゃーん」て言われたって。
前回は天気関係なく、時間の都合で動いちゃったからね。でも、もはやそんな状況なんですよ。
と、いうことを踏まえて、ラスト・ディスカッションが始まりました。どよょーんん・・・とした雰囲気で始まりました・・・。
早々に前回、C2に到達できなかったオランダ2人娘がギブアップを表明。まだ、時間があれば、もう1サイクルで取り戻せるだろうけど、時間のない今となってはちょと厳しいという判断。
でもこの2人、ギブアップを表明してからはエラク楽しそうに、この後、先にBCを出て、ナンガのBCに行って・・・、フンザに行って・・・とかいろいろ計画してた。
で、残されたのは5人。ずい分とこじんまりしちゃいましたが、それはそれで、いいのかも。
そして、この「残された5人」で今後についてディスカッションがスタート!
天気が悪い! 時間が無い! ルートがどーたら! 他のチームがどーした!
で、ヒロはどう思う?
えー・・・なんとかなるんじゃないのー?
なんで!そんなに楽観的なんだ!!
怒られちゃいましたよ。そんなこと言われたってねー?どーしろって言うのさー?
朝、起きてテントのジッパー開けて天気が良ければ行くし、ダメなら帰るし、他のチームなんかあてになんかしないもーん。前回のG1の時だって、他のチームが「一緒に登頂しようね!」とか言って一緒のサミットデイを設定したけどずーっと我々の後を付けてきただけだもん。
ここずっと自分たちだけしかいない山ばかりだからそんなのあてになんかしませんーん。
それでダメならまた来年!
その、また来年って言うのだけは、ちょっと同意できないけど、たしかにヒロの言うのはもっともだ・・・。
概ね、ドイツ語でみんなでワーワー言っていて、時々、私が発言すると、私がみんなに対して発言してるようで少し角がきついかな?
まあ、そんなやり取りもあり、チャーリーからの天気予報によると、「土曜日までちょっと雪かなー?」ちょとってどれくらいさ?「日曜日は晴れかなー?」
なんとも心もとない・・・。
しかし、他に信じるものも頼れるものも無いのでチャーリーを信じて日曜日(15日)をサミットデイに設定して木曜日(12日)にスタート!!に決定!!
あー、はいはい・・。皆さんの言いたいことは良くわかりますよ。
セオリー無視ですね。そうです、まったく無視です。
まだ、6500mに一泊しかしてませんものね。しかも無酸素ですしね。
でも、BCで寝てても、永久に頂上は向こうから近づいてきてくれるわけではないですから、こうなったら行ってみるんですよ。
ダメなら帰ってくればいいじゃん?
って! 何はともあれ決まった!と思ったら、チャーリーから再び電話!最新の天気予報!彼が言うには、これは前回より自信がある!そうなんだけど、内容は最悪!!
金曜日から月曜日まで雪!特に日曜日は最悪!
ぜんぜんダメじゃーん!!「振り出しに戻る」だよ!
再び、ディスカッションがスタート!もう、みんな、なんだかケンカ腰。
どーすんだよ!今日、晩御飯食べたらもう、歩きだして今晩C1、明日C2、金曜日雪が降り出す前に頂上だ!とか、天気が悪くても行ってしまえ!とか、もう、諦めて帰ろうとまで、もう無茶な意見が続出!
ヒロ!どーすんだよ?!
えー、もう、晴れるまで待ったら・・・?えーっと、月曜日が晴れるんだっけ?じゃあ、月曜日に頂上に行くようにBC出てけばー。
ちがうよ!晴れるのは火曜日だって言っただろ!
あー、じゃあ、火曜日。
みんな真剣なんだぞ!!!
こっちだって真剣だよ!!
どうしたって、サミットデイが天気が良くなければダメじゃないか!BCからC1なんて吹雪だろうがなんだろうが行けるんだから、天気がいい日に頂上に行けるよう出て行くしかないだろ!
トレースなんか無くったっていいよ!オレがラッセルすればいいんだろ!ナダレは知らんけどね・・・。
・・・・・沈黙・・・・・・
しばらく、ドイツ語であーでもない、こーでもない言っていたけど・・・・
ヒロ・・サンキュー・・・
そのサンキューはシックリこないけど、他に選択肢は無いと思うよ、今となっては・・・。
と、言うわけで、こうして、私の登山経験においても初めてとも言える「悪天候を待つ!」という奇妙な理由でまたしばらくBCにいることになりそうです。