※このブログは
報知新聞社様のご協力により再掲出したものです。
尚、当サイトにおける公開は2020年1月20日です。
魚卵の夢
2005年シシャパンマ南西壁の前に順化で登ったプンパリ(7445m)から下山し、日が暮れた中をベースキャンプに向かっていると、ベースまであと1時間ほどか?ってところで、吹雪とホワイトアウトになって、思いっきりルートを見失った!
全ての荷物は次回の南西壁本番で使用するために取り付きにデポってしまったので、まったくの空身・・・
着の身着のままにヘッドランプとバックパックには3分の一ほど水の入ったボトルと食べ物のは3人(ラルフ、ガリンダ、ヒロ)でキャンディー5個・・・
まったく、右も左も分からない・・・
無理やり進んでもダメだ・・・
ここで吹雪が止むか、日が昇るかを待とう・・・
そして、ビバークに突入!
って言っても、なにも持っていないので、岩の上にバックパックを敷いて3人で十姉妹のようにくっ付きあって寒さを堪えるしかない。
順化登山中は、寒さとシングルプッシュで6880mまで上げて無理やり2泊した影響で、ほとんど食べていないし、寝てもいない。
疲れて、お腹も空いて、眠い・・・三重苦。
せめて、取り付きでなにか作って食べようかとも思ったんだけど、ベースに帰れば、コーラにビールにシッタラム(コック)が作った暖かくて、美味しいディナーが待っている!って思って、なにも食べず、しかも、行動食までデポしてきてしまった。
お腹が空いたよー・・・ひもじいよー・・・
起きてると、余計にお腹が空くから寝ちゃえ!
寒いけど、疲れで、うつらうつら・・・とすると・・・
頭の中に、ぶわぁー!!!っと!
イクラ!タラコ!明太子!が溢れてきた!
イクラ!タラコ!明太子!イクラ!タラコ!明太子!イクラ!タラコ!明太子!イクラ!タラコ!明太子!時々、白いご飯・・・
寒さと空腹でハッ!と目が覚める!
ななななんだー!この夢は!
そして、再びうつらうつらすると・・・
イクラ!タラコ!明太子!イクラ!タラコ!明太子!イクラ!タラコ!明太子!イクラ!タラコ!明太子!時々、白いご飯・・・
ホントになんだ?この夢は???
ご存知のように、私は登山中、海外中に日本食にまったく興味を示さないんです。何ヶ月も日本食が無くても全然!大丈夫。
数ヶ月の登山から、日本に帰ってきて最初に口にした日本食?が、成田の売店で買ったカロリーメイトってな人なんです。
そもそも、日本での普段の生活でも、イクラ、タラコ、明太子ってほとんど食べない・・・
嫌いじゃないけど。
それなのに、なぜ?
イクラ、タラコ、明太子???
なぜ?魚卵???
それにしても、食べ物の夢を見て目が覚めるなんて・・・
切ないね・・・
数時間後、吹雪は止み、星空が見えてきました。
ホワイトアウトも晴れて、見渡してみると、そこは、ベースキャンプからさほど離れていない見慣れた場所でした・・・
なーんだ・・・こんなところで迷っていたのか・・・
そんなもんなんですよね。
ベースキャンプに着いたのは、夜中1時過ぎでしたが、コックのシッタラムが寝ずに、料理を用意して待っていてくれました。
夜中なのに豪勢なディナーが次々にテーブルに運ばれてきましたが、イクラ、タラコ、明太子は出てこなかった・・・
しかし、なんで、あんな夢見たのかな?
私って、そんなに魚卵が好きだったのかな?夢に見るまで。
知らなかったな・・・
Comments
1
山形の大魔神
私はロンブク氷河歩きながら、イカの一夜干し(内蔵ごと干したやつ)夢想していたのだが・・・日本人はやはり魚喰いだね。