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これは、ジィーストーンと呼ばれるチベットの古いビーズ。
チベット人が先祖から代々受け継ぎ身に付けるとされるお守りのようなものです。
(中央がジィーストーン 左右の赤いのは山サンゴ)
山サンゴについてはコチラ
「ネパールみやげ」

以前からジィーストーンについて書きたいなーと思っていたのだけど、調べれば調べるほど、よく分からないことが分かった・・・。

私が、これまでの十数年間でジィーストーンについて、いろいろな人から聞いたことは、結局「そうらしい」でしかなくて、正確な文献等にたどり着くことができませんでした。
そもそも、「ジィーストーン」なのか「ズゥイストーン」なのかもよく分からん。日本では「天珠」と呼ばれているようです。

あぁ!ちなみに、「ジィーストーン」とか「天珠」でインターネットで検索してもダメよ!
ググっても出てくるのは、
「これを身に着けたら、宝くじに当たって!彼女ができました!!」みたいな田舎のピュアな夢見がちな若者がなけなしのお小遣いをつぎ込んでしまような話しかでてこないからね。
いわゆる「パワーストーン」として「ジィーストーンのよーなもの」に御利益があるぞ!ってあちこちで売られています。

前置きが長くなりましたが、そんな訳でこれから書くことは、私がこれまでに人から聞いたことでマッタク「ウラ」が取れていないお話なのでそのおつもりで!
ただ、ちまたで売られている「ジィーストーンのよーなもの」と「ジィーストーン」は全く別物で、御利益なんぞ無いことだけは明らかです!

そのジィーストーンの存在が知られるようになったのは、1903年にイギリスのヤングハズバンド軍がチベットに攻め込んだときと言われています。
インドを植民地にしたイギリスはさらに北進してチベットに侵攻していきます。(シムラ条約に関わる出来事)

チベット軍の弓矢や伝統的な投擲ムチ(石を投げるムチ)に対して、圧倒的な銃火器で武装したヤングハズバンド軍は、ついにラサまでも占領します。
しかし、その時イギリス軍の最大の敵は「高度」だったのです。
チベット高原の標高4000mから5000mにおける戦闘で彼らは高山病に悩まされ圧倒的な武器の優位がありながらもチベット軍の素早い動きに対応できず大きな損害を受けたと言われています。
当時、どれほど正確に高山病が認識されていたかはわかりませんが、恐らく、イギリス人たちは、自分の体が思うように動かないのに、チベット人の素早い動きは神がかりのように見えたに違いありません。

「クソ!なんで奴らは、あんなに素早く動けるんだ?」
「隊長!これを見てください!チベット軍兵士の遺体を調べてみたら、コイツら見たこともない石を首にぶら下げてますぜ!」
「確かに・・・不思議な模様の石だ!これは、自然のものなのか?それとも人工的に作られたものなのか?オイ!捕虜に説明させろ!」
「オイ!この石はなんだ!!」
「・・・・・・・・」
「オイ!吐きやがれ!」
「・・・・・・・・」
「仕方ない・・・コイツのを取り上げろ!!」
「ヤメロ-!!それだけは止めてくれ-!!それは命より大切なものなんだ-!!」
「こんなに抵抗するとは、よほど特別なものに違いない!きっと、この石になにか特別なパワーがあるに違いない!」

・・・ってなやり取りがあったかどうかは知らんが・・・
イギリス人はチベット人から多くのジィーストーンを略奪したと言われています。また、その後、中国がチベットを侵略した際にも多くのジィーストーンが略奪されました。
この神秘のジィーストーンのことは、広く知られ、多くの人がその正体を明らかにしようとしたそうです。
しかし、ジィーストーンが、そもそも自然の物なのか?人工的に作られた物なのか?その模様は自然なのか?描かれたのか?もし、人工的に作られたものなら素材はなんなのか?どうやって模様を描いたのか?
ジィーストーンの正体は、長いこと解明されませんでした。

新たな宝石とも言われ、なにかの骨だとも言われ、はてまて隕石とも言われました。

実はチベット人もジィーストーンがなんなのか知らなかったのです。それは、チベット人にとって、どこから来たのか、どうやって作られたのかなど知ることもできないほど、大昔から先祖代々受け継いできたものだったからです。

その後、ジィーストーンはヨーロッパのコレクターの間で高値で取引されるようになります。
そして、やはり・・ニセモノが出回るようになります。
その多くはガラスや、なにかの樹脂で作られていたようで、見た目は本物そっくりに作られていました。
そして、本物とニセモノを見分ける方法がまことしやかに言われ始めます。

「髪の毛を巻いて火をつけて焦げ方の様子で分ける!」
「断面の模様で分かる!」
「模様が表面だけにあって内部まで浸透していないのは偽物だ!」
「しばらく握っていても暖かくならないのが本物だ!」
などなどなどなど・・・・・・!

でもね、みんな適当な話らしい。しかも、どうやらニセモノを売ってるヤツらがニセモノを売りつけるために言い出したことらしい・・・。

以前、カトマンズで「自称ジィーストーンブローカー」ってのに会ったことがある。
彼が言うには、こうだ!
「亡命チベット人が生活に困って本物のジィーストーンを売ろうとしているけど買わないか?本当は手放したくないんだが、日本人になら売ってもいいと言ってる・・・」
話を聞けば聞くほど、良くできた話だったんで、
「じゃあ、最高のものを見せてくれ!」
と言って見せられたのは、確かに大ぶりで、最高と言われる種類の模様(模様にもいろいろなタイプがありランクがある)で線もしっかりしたものだっ
たけど・・・お値段200万円!

コレクターにとっては、それは200万円でも安いそーだが・・・
もうちょっと安いのない?
ってんで、お手軽なところで?まあ、20万円から30万円ってとこらしい。
(大きさ、模様、線などでランク付けされる)
(以前は、結構安く取引されていた時もあったようです)

でもさ・・・本物かニセモノか、どうにも見分けのつけようがない。
本物なら結構だけど・・・まあ、ニセモノなんだろうな・・・

実際のところ、現在、本物はまず出てこない。
つまり、チベット人が先祖代々受け継いだオリジナルの「古いジィーストーン」は、出回ったものはすでに取引し尽くされ、元から持っている人は、決して手放すことはないということ。
だからこそ、「あなただけに!」ってな話が出てくるわけだ。

「古いジィーストーン」っていうことは、「新しい」のがあるってこと?
話がややこしいのは、最近は「ニセモノ」ではなく「新作」が作られるようになってきたらしい。
どうやら、これまで謎とされてきたジィーストーンの作り方が解明され、新しく作られるようになったようです。その産地は台湾やタイらしい。
きっと、今は薬品とかレーザーとかいろいろな方法があるだろから作れちゃうんだろうか?素材は瑪瑙らしいといわれています。
しかし、本物と言われるジィーストーンは、瑪瑙とは質感や重量感が違うような感じもするんだけど・・・それもなにかの化学変化で変質しているのでしょうか?
本当は現代の科学分析を持ってすれば、その正体を解明できるんでしょうけど、分析に使うジィーストーンがそもそも「古い本物」なのか分からんよね・・・。

私が以前、あるチベット人に聞いた話だと、ジィーストーンは「土の中」から出てくるそうだよ。それは先祖から伝えられた特別な場所に埋まっているそうです。
もし、それが本当なら、私が推測するに材料になる石に、なにか特殊な染料で模様をつけて数百年とかをかけて土の中で化学変化を起こさせ模様を現わさせるのではないかな?
なぜなら、ジィーストーンに描かれている模様は、明らかに人工的な模様なんだけど、模様の線の現れか方が、はっきりしているものもあれば、ぼんやりしているものもあり、一つのジィーストーンでも線がはっきりしている部分とぼんやりしている部分がある物もあります。
それは、土の中での変化が長い時間かかって起きるために、均一でなかったり、掘り出されるタイミングで模様の現れ方が違うんではないかな?って勝手に推測しています。
焼くことで模様を出すのかな?とも思うんですが、もし焼くなら、もっと量産できるのではないか?とも思います。
もしかしたら、焼いてから埋めるとか、掘り出してから焼くとかの可能性もありますかね?

つまり、現在では「本物」も「ニセモノ」も「古い本物」も「古いニセモノ」も「新しい本物」も「新しいニセモノ」も「パチモン」までが入り乱れていて全く分からない状態のようです。
他にも、まったく悪意の無いおみやげ物として作られてガラスのビーズもある。

「らしい」ばっかの話で説得力ないけど、まあ、ジィーストーンには、手を出さない方が無難だね。

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以前、シシャパンマのTBCに現れたお土産の行商人。
ジィーストーンを売りに来てたよ。
一つ、約3万円から5万円だってさ。
それよりさ、オマエ、チベット人なのに、なんで中華服を着てるの?
外国人が喜ぶんだろうね・・・。
手には電卓が握り締められてるよ!商売熱心だね。

私の手元にある、このジィーストーンは東海地区にお住まいの友人(日本人)にいただいた物です。
どの「ジィーストーン」でしょうかね?

でもね・・以前、仕事で宝石を扱っている人(ジィーストーンについて予備知識の無い女性)に見せたら、
「触れない!!なにかを感じる!!」って言ってた・・・
どう思う??
もしかして・・・
毎日、身に着けてたら、宝くじに当たって、彼女ができるかな??